新井英樹の連載デビュー作「宮本から君へ」は、真利子哲也監督、池松壮亮主演で2019年9月に映画化されました。
筆者は、原作漫画もテレビドラマ(2018年にテレビ東京でドラマ化)も観ましたが、
不器用に不器用を重ねた主人公の激しい生き様に引き込まれました。
この記事では、映画「宮本から君へ」の原作漫画との違いと見比べるべきポイントについて解説しています。
映画「宮本から君へ」原作漫画との違いは?
それでは、話題作「宮本から君へ」の映画と原作漫画の違いについてみていきましょう。
原作漫画の情報
『愛しのアイリーン』『キーチ!!』の新井英樹の連載デビュー作。
講談社『モーニング』で、1990年から1994年にかけて掲載された。
単行本は講談社より全12巻(モーニングKC)。
1992年度第38回小学館漫画賞青年一般部門受賞。
価格:6,512円 |
映画「宮本から君へ」の情報
2019年9月27日公開。
2018年のドラマでは原作漫画の前半部分が描かれたが、映画では後半部分が描かれています。
原作漫画の5巻から12巻にあたる部分です。
監督は真利子哲也。主演は池松壮亮、ヒロインは蒼井優演。
映画と原作漫画の違い
映画と原作漫画との違いは、ほぼ無いと言っても良いと思います。
驚くほど原作漫画に忠実に映画も撮られています。
違う点をあげるとすれば、下記の点くらいで、どれも大した内容ではありません。
強いて言えば、原作漫画では印象的なラストシーンの会話が映画では無かった点。
これはあった方が良かったと思うが、敢えて無くした意図が知りたいと思いました。
相違点 | 映画 | 原作漫画 |
宮本と風間裕二の出会い | 宮本が中野靖子の自宅に招かれて、食事をしている時に祐二が靖子に会いに来る | 宮本が映画館のトイレでゲイのオヤジに絡まれている時に祐二に助けられ、そのまま飲みに行き、靖子の自宅に連れられていく |
宮本と中野靖子が結婚を決めて、双方の実家に挨拶にいく場面 | 冒頭に宮本の実家を訪問するシーンがあり、その後、途中途中に靖子の実家を訪問した時のシーンが挿入される | 真淵拓馬との決闘の後に双方の実家を訪問する |
真淵敬三の入院先の場面 | 真淵敬三だけがいて、拓馬の居場所の地図を受け取る | 真淵敬三と妻がいて、拓馬が居そうな場所を妻から聞き、その店で拓馬の友達と格闘して居場所を聞き出す |
ラストシーン | 原作漫画のような会話は無い | 靖子が救急車に載せられる間際に「ありがと宮本…あんたって、最高だわ」と言うと、宮本が「おお最高だ」と返して終わる |
また、違いではありませんが、
- 宮本と太陽製菓の人達が知り合った過程
- 宮本が靖子と付き合うようになる過程
などなどが、省略されています。
こちらも特に大きな影響はないと思います。
映画「宮本から君へ」と原作漫画を見比べるべきポイント
映画「宮本から君へ」は強烈なインパクトを受けた原作漫画を恐ろしいほど忠実に再現しています。
むしろ原作漫画を超えたと言っても過言ではないです。
筆者自身がこの映画に感じた凄さ(見比べるべきポイント)について解説します。
キャスティング
まずキャスティングが素晴らしいです。
<主要キャスト>
- 宮本浩 – 池松壮亮
- 中野靖子 – 蒼井優
- 風間裕二 – 井浦新
- 真淵拓馬 – 一ノ瀬ワタル
- 田島薫 – 柄本時生
- 小田三紀彦 – 星田英利
- 岡崎正蔵 – 古舘寛治
- 大野平八郎 – 佐藤二朗
- 真淵敬三 – ピエール瀧
- 神保和夫 – 松山ケンイチ
- 宮本武夫 – 新井英樹
- 宮本秀子 – 工藤時子
- 中野靖邦 – 螢雪次朗
- 中野静江 – 梅沢昌代
- 中野瑞穂 – 小野花梨
主演の宮本役・池松壮亮は、まさに原作漫画そのまま!
ここまで忠実に原作漫画の役を演じることができるのは、彼しかいないと思いました。
原作漫画の前半を描いたドラマの時も相当マッチしていましたが、その時以上にハマり役でした。
中野靖子役の蒼井優、風間祐二役の井浦新も原作漫画のイメージピッタリ。
それ以外のキャストも全てイメージ通りです。
その中でも特に真淵拓馬役の一ノ瀬ワタルが最高にマッチしていました。
この投稿をInstagramで見る
- 居酒屋の登場シーン
- 靖子を強姦するシーン
- 宮本を叩きのめすシーン
- 宮本との決闘シーン
全ての場面で、原作漫画そのままの太々しさを表現していました。
セックス描写
宮本と靖子が食事をしているところに乱入してきた祐二と揉めた後のセックス・シーン。
これが、原作漫画と全く同じ流れでした。
演出も非常に細かい部分まで、原作漫画を表現していると感じましたし、
主演の二人がものすごくリアルに演じていてすごいと思いました。
宮本と拓馬の格闘
映画「宮本から君へ」のハイライトとも言うべき格闘シーン。
この映画「R15+」ですが、セックスシーンだけでなく、この格闘シーンもその理由なんだろうと言うくらい激しいです。
正直観ていられないレベルでエグいです。
- 駐車場で拓馬が宮本にカウンターパンチを入れる場面
- その後殴り続ける場面
- 最後の決闘で、拓馬が宮本の指を折る場面
- 宮本が拓馬の陰嚢をもぎ取る場面
どの場面も原作漫画を忠実に再現していて、「ひゃー!やめて!」と言う感じ。
リアルすぎて、まともに観れませんでした。
宮本のメイク
映画全編に渡って、宮本の顔はずっと殴られた状態ですが、
めちゃくちゃ気になるのは、歯が無いことです。
漫画で表現するのは容易いですが、映像となるとかなりの難度です。
この投稿をInstagramで見る
これは特殊メイクらしいのですが、すごく精巧に出来ています。
筆者も調べて特殊メイクだと分かるまで、まさか歯を抜いたの?と思ったくらいです。
主題歌:宮本浩次「Do you remember?」
ドラマ「宮本から君へ」のEasy Goにつづき、
映画「宮本から君へ」の主題歌は、宮本浩次の「Do you remember?」
これがヤバイです。
絶妙にマッチする主題歌が映画の魅力を最大限に引き上げる最高の事例だと思います。
映画のラストを飾るこの曲は、映画の余韻に浸ると言うよりも、
感動が再度湧き上がってくる感じ。
横山健のギターも良いですねぇ〜
まとめ
- 映画「宮本から君へ」は、原作漫画に限りなく忠実である
- 見比べるべきポイントは、キャスト、性描写、格闘シーン、メイクである
- 映画「宮本から君へ」のキャスティングは素晴らしい
- 主題歌が最高ですある
この映画は、ブルーリボン賞をはじめ、数多くの映画祭で賞を受賞しています。
それだけの価値のある映画だと思います。
映画も原作漫画も両方観ることをおすすめします。
原作漫画は、「ピッコマ」で全編無料で読むことができます。
コメント