私は、とにかく池井戸潤さんの作品が好きで、小説は全て持っています。
中でも特に好きな作品のひとつが『空飛ぶタイヤ』です。
『空飛ぶタイヤ』は三菱自動車工業の大規模リコール隠しという実話がベースになっていることで知られています。
原作は巨像に蟻が挑み、最終的に蟻が巨像を倒すという爽快なストーリーになっていますが、実話はどうだったのでしょうか?
この記事では、『空飛ぶタイヤ』のベースになった実話の概要、モデルになった運送会社や被害者のその後について解説しています。
空飛ぶタイヤとは
2000年と2004年に運輸省の監査で発覚した三菱自動車工業の組織ぐるみの大規模リコール隠し事件により発生した横浜母子3人死傷事故をベースにした池井戸潤の小説。2018年に映画化されました。
事故か、事件か。大企業の抱える巨大な闇を暴く池井戸潤原作の社会派サスペンスです。
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空飛ぶタイヤの実話である事件について解説!
モデルになった事件は、横浜母子3人死傷事故
この事故は、2002年1月10日に神奈川県横浜市瀬谷区下瀬谷2丁目の交差点付近の中原街道で起きました。
綾瀬市内の運送会社(会社名は報道で非公開)が所有する大型トレーラートラックの左前輪が突然外れ、そのタイヤが下り坂を転がり、ベビーカーを押して歩行中だった母子3人を直撃。
当時4歳と1歳だった兄弟は手足に軽傷を負ったものの無事でしたが、当時29歳だった母親(神奈川県大和市の主婦、岡本紫穂さん)は死亡しました。
レンタルビデオ店に子供用ビデオを返却に言った帰りでした。
三菱自動車工業のリコール隠し事件
三菱自動車工業のリコール隠し事件は、2000年と2004年に発生していますが、この物語のベースになったのは、2004年のリコール隠し事件です。
横浜母子3人死傷事故直後の三菱自動車工業は、一貫して「運送会社の整備不良が原因」と主張します。
しかしその後の捜査でトレーラーのD型ハブ破損が原因であることがわかり、三菱自動車工業から分社化した三菱ふそうトラック・バスは、神奈川県警の捜査が進むなか、2004年3月24日に突然、ハブの設計上・構造的欠陥を認めリコールを届け出ました。
あまりに遅すぎたリコールです。
実話の事件の被害者はその後どうなったのか
弁護士とのトラブル
原作では触れられていませんが、上記訴訟を担当した青木勝春弁護士は、訴訟当初の請求額約1億6,550万円を元に弁護士報酬を約2,110万円と算定し、遅延損害金を含む損害賠償金670万円を相殺するとして原告に渡しませんでした。
そのため、遺族側が「賠償金を返してもらえない」と弁護士会に相談し、青木弁護士は懲戒処分を言い渡されました。
原作と実話での相違点
被害者のその後について、原作と実話の相違点について確認してみましょう。
- 事故で亡くなった母親の子供は2人
- 原作では、赤松運送は、会社も家族も守ってハッピーエンドだが、実話では、事故当時世間の風あたりが強く、家族にまで苦難が及ぶような状況だった。結果的に廃業に追い込まれた。
- 原作では、事件直後に被害者の夫(岡本明雄さん)に500万の慰謝料の提示があったが、実話は、訴訟を起こしたのは被害者の母親(増田陽子さん)で、提示されたのも7年後だった。
- 原作では東京ホープ銀行は、ホープ自動車を見放したが、実話は、系列銀行は見放さずグループ総出で支援した。
被害者の子供の数や訴訟を起こしたのが被害者の母親であったことなどは、物語に与える影響は少ないので、原作は実話と違っても気になることではありません。
やはり、注目すべきなのは、原作では弱者である運送会社が救われて、大手自動車会社は身内にも見放されるという結末ですが、実話では、全く逆の結末であるということでしょう。
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まとめ
この記事を書くにあたり、一番感じたことは、
原作は結果的に非常に爽快でハッピーエンドな雰囲気で終わっていますが、
現実は、弱者(運送会社、被害者及びその家族)は全くハッピーではなかったという悲しい事実です。
- モデルになった運送会社は事件当初、家族も苦しむほど誹謗中傷された挙げ句に廃業している
- 被害者遺族への慰謝料はわずか670万円。しかも弁護士に全て巻き上げられた
- 問題を起こした大手自動車会社は、何事もなかったのように今も経営されている
原作のエンディングは、悪が制裁されてとても爽快な気持ちになりましたが、
現実を知ってしまうと、逆になんとも言えない悲しい気持ちになっちゃいますね。
ただ、そういった現実も踏まえて、原作はとても良くできています。
原作をまず読んでから、映画を観ることをおすすめします。
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