筆者はワインエキスパート の資格を保有するほどのワイン好きです。
ワイン好きの多くの人が週間モーニングで掲載された「神の雫」という漫画を読んでいたと思います。
2004年11月の連載開始から16年!ついに「神の雫」が判明しました。
この記事では、「神の雫」の正体と、そのワインは飲むことができるのかについて解説しています。
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「神の雫」と「十二使徒」の正体
2004年11月の連載開始から16年の間に「神の雫」から「マリアージュ」に連載が移行しました。
「マリアージュ」では、特に食事との相性について深掘りしていましたよね。
それでは、まず「神の雫」と「十二使徒」の正体について確認しましょう。
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十二使徒
使徒 | ワイン名と情報 | 記述 |
第一の使徒 |
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私は原生林に覆われた深い森の中を彷徨っている
苔生した木々から湿り気を帯びた生命の香りが漂う中
癒やしを求めて森の中を目指して歩く
ふと目の奥に差し込む一条の光に私は気づく
森の中にあるはずのない花や赤い果実の香り
胸に手を当て逸る心を納めながら歩みを速める
不意に森が開け
奇跡のように湧き出した澄みきった小さな泉
砂漠の中のオアシスのように澄みきった水に手を浸し
そっと上澄みを口に運ぶ
なんという甘さ
なんという気高さ
自然の恵みがもたらしたこの豊かさは
人の手の及ばぬこの処女地にこそふさわしい
おお見よ
あの絡み合うふたつの菫色の蝶たちを!
この泉はお前たちの聖地なのかもしれない
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第二の使徒 |
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このワインは「モナ・リザ」である
私はフィレンツェからピサを向かう街道に車を走らせていた
芸術家は私を絵の前に立たせ謎をかけるように布を取り払った
二枚の絵は艶然と曖昧な微笑みを浮かべる女を描いたもので
見分けがつかないほどよく似ていた
芸術家は私に尋ねた
「お前はどちらを愛するか?」と
私は尋ねた
「このふたつの絵はいつ描かれたのか?」
芸術家は答えた
「右の絵は夏に描いた、左の絵は春だ」
それを聞いてもう一つの質問を投げかけた
「このふたつの絵はいったい誰を描いたものだと」と
芸術家は再び答えた
「左の絵は子を宿したばかりの女だ、右の絵は……」
言いかけて芸術家はいたずら小僧のように微笑み
私に向かって言った 「右の絵のモデルは教えられない」
私は改めて二枚の絵を見比べた
右の絵はより力強く、
まだ絵の具の乾ききっていない若々しさが溢れていた 対する左の絵は完成された柔らかさと慈しみが溢れ
私の心を真綿のような優しさで包み込んでくれた
私はすべてを悟った
「私が愛するのは左の絵だ」と
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第三の使徒 |
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『第三の使徒』は私j自身の記憶の引き出しにしまわれていた……
そのワインは忘れかけていた小さな
しかしかけがえのない感動を呼び覚ましてくれたのである
あれはいつの日の光景だっただろう
夏に向かう季節
草むらの中を仲のいい友だちと駆け回りながら
日の傾くまで思い切り遊んでいた
暴れん坊をしていた私はいつの間にか
友だちの気配がどこにもなくなり 空き地に取り残されてしまったことに気づいた
空き地には今は見かけなくなった白いタンポポが
雑草の中に群生している
広がり始めた夕焼けが
それらを真っ赤に染めあげていく
どこからともなく夕食を作る
美味しそうな香りが風に乗って漂ってくる
何かを焼いているのか?
空き地の草の匂いと混じり合い
それらは上等なハーブやスパイスの香りとなって鼻をくすぐる
私は夕闇の迫る空き地に
独りきりになってしまった不安と
団欒を思い起こさせる香りをおびた風によって
どうしようもなく家が恋しくなる
帰ろう、もう帰ろう
そう思って歩きだす
だが黄昏が迫る家並みは
どこも同じように見える
歩いても歩いても
家は逃げるように遠くなる
道を見失いお腹がすいて途方に暮れて
泣き出しそうになって私の肩に
温かい手が置かれた
温かくて大きな手の主は私に微笑みかけ
不安を取り除くためにお菓子をくれた
その小さなひと塊を私は口に含んだ
ほっとするような甘さ
考えられないほどの芳醇さ
その温もりは
一瞬の思い出として幼い私の胸に永遠に刻まれた
気がつくと私は家の前に立っていた
薄く開いた窓からは団欒の笑い声が漏れ聞こえる
愛し信頼する家族の温もりを求めて
私は重い気の扉を開けた
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第四の使徒 |
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私は五月の晴れ渡った空の下にいる
そこは大樹の下で
優しく陽を遮る陰に守られながら光輝く庭園を眺めていた私は
ふと携えていた一冊の古い本を繙いた
まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思いけり
やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたえしは
薄紅の秋の実に
人こひ初めしはじめなり
わがこころなきためいきの
その髪の家にかかるとき
たのしき濃いの杯を
君が情けに酌みしかな
林檎畑の樹の下に
おのづからなる細道は
誰がふみそめしかたみとぞ
問いたまふこそこひしけれ
私はゆっくりと立ち上がり
そらんじたその詩を口ずさみながら
花咲く庭園をそぞろ歩く
遠い記憶の中で
甘く微笑む少女を想いながら
芽吹く青葉の薫りと
足元から立ちのぼる
雨上がりの土の香りに
酔いしれて……
いつの間にか私は
庭園の直中に佇んでいた
紅色、桜色、赤紫
そして白妙の鮮烈な花のハーモニー
私はその中から赤紫の一輪をそっと摘み取り
いつか少女とともにそうしたように蜜腺を吸った
混じり気のない透明な仄かな
そして自らを語ろうとしない無口な甘さが
記憶の中の少女の微笑みと甘い口づけに寂かに連なっていく……
そのワインは初恋の人に似ている
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第五の使徒 |
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私は今
孤高の頂に佇んでいる
この清冽なる大気ー
今私の頂上には
空の他何もない
眼下の嶺
すべてはひれ伏すように横たわり
岩肌に張りつく白銀は
絹のドレスを纏うかのように
清らかに輝いている
ふいに涙がこみあげた
その意味を探るべく
私はこの頂に至るまでの道程を振り返った
常に困難でありながら
こらえきれるほどの希望
そして何より
魔物に魅入れられたような執念に駆り立てられ
私は頂を目指したのだった
朝日に色づきはじめた高峰を見上げながら
第一歩を踏み出した
挑む者を試すような静けさ
巨人はただ見下ろすのみだ
私は「ドン・キホーテ」のように挑みかかる
はやる気持ちを抑えながら
踏みしめるように頂を目指す
するとどうだろう
山は刻々とその表情を変え
時に笑顔
時に穏やかさを見せ
そして時に荒ぶる魂をもって牙を剥く
理想と希望
そして魂の求むるがままに
私は岩にしがみつき
滑る雪を踏みしめ
ひたすら高みを目指してゆく
あと少し
あと少し
魂は飢え渇き
聳え立つ頂以外
何ものも目に入らない私を嘲るように
山は巨大で
そして美しく沈黙している
絹のヴェールに覆われたような頂上は
時折司会に現れてはまた消え
近づいたを思えば
逃げ水のようにまた遠ざかる
ああ山よ
お前は魔物か
それとも神なのか……!?
どれだけ時が流れただろう……
私の手は
気がつくと頂をつかんでいた
辿り着いたのだ私は
なんという至福
なんという透明
豊かさも冷たさも
この世の複雑さも
あるいは優雅さも
この頂から総て鳥瞰できる喜び
私はそれを胸いっぱい吸い込み
そして山を後にした
遠く高嶺を望めるところまで来て
私は振り返った
孤高の頂は再び神秘に包まれ
私を誘っていた
「もう一度またおいで……今度こそ教えてあげるから」
私は確かに聞いた
あれは幻だったのか?
あの光景の総ては夢幻に過ぎなかったのか
それを確かめるために
いつかまたあの孤高の山を目指したいと切望せすにはいられない
今あの孤高のワインを飲む時に
ただひとつ言えることがある
いかに高い理想を持ち
いかに大きな期待を胸に味わったとしても
このワインには決して失望することはないだろう
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第六の使徒 |
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孤独……
この世に生を受けたときから
私は真の孤独というものを知らずに生きてきた
私の近くには常に温もりがあった
本当に苦しいときには癒しを与えられ
思い上がっているときには厳しさの中に放り込まれた
そうやって私は生きてきた
それが当然と思って
私は見捨てられた吟遊詩人のように暗闇を歩いている
初めて味わう孤独に怯えながら
ふと立ち止まるといつの間にか漆黒の空は
深い藍色を帯び始めていた
ここは動くもののない静かな領域
その世界には静謐な泉は存在せず
それゆえに水面を渡る涼やかな風を感じることはない
渇きを癒やす泉もなければ
焦燥を鎮めてくれる風もないのだ
それにも拘わらず救いがあり癒しがあり
何よりもそこに身をひたすような穏やかさが溢れている
ゆっくり明けていく薄闇の向こう側に
柔らかで安堵に満ちあふれた影が佇んでいる
謎めいた「影」はやがて微かな光の衣を纏い始めた
残月のごとく浮かび上がるその姿は
厳かでありながら慈愛に蜜溢れている
その佇まいは人でありながら宇宙である
その眼差しは伏していながら総てを見つめている
その指先は永遠なる思惟を物語っている
立ち上がるでもなく座り続けるでもなく
語るでもなく笑うでもなく
そしてただ沈黙するでもない
幸せでもなく不幸でもなく
夜でもなく昼でもない
太陽でもなく月でもない
しかしあなたは私を深く受け入れてくれている
ありのままの私を静かに抱き寄せてくれようとしている
思わず近づく
愛する子のように愛される母のように
孤独を携えた私の肩を抱きよせてくれる気がして
抗うことのできに力に引き寄せられながら
私は歩み寄る
頬を寄せる
安らぎを求めてそして訊ねる
私は何をすればいいのですか?
この先の幾歳を生き抜くことに
いったいどんな意味があるというのですか?
弥勒菩薩半跏思惟像
このワインは悩める者の問いかけに黙示をもって応えてくれる
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第七の使徒 |
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その時の私は自信に溢れていた
荒野にひとり佇もうとも
深い森をひとり彷徨おうとも
道を失おうとも
あるいは大海に浮かぶ小舟のただひとり揺られようとも
けっして動じることはない
そう思い込んでいたのだ
群れを離れた若獅子のごとく猛々しく振る舞っていた自分を
私はこのワインをグラスに注ぐそのたびに
思い起こさずにはいられないのである その香りは私を捕らえて離さない
懐かしい過去のように
輝かしい未来への空想のように
私はたまらずに手を伸ばしそれを味わう
どこまでも高い空
見渡す限り広がる地平線
そして確固として動じない大地
私は我が身の矮小さを思い知らされる
遠くから地鳴りのように厳かに
潮騒のようにたおやかに
聞こえてくる一本の旋律
それはひとつまたひとつと重なり合い
荘厳にして複雑なバロックとなって
私をとりまきどこまでも鳴り響いてゆく
それは巨大な蟻のの塔のように見える
それは群衆の叫びのようにも感じる
それは天を支える聖なる柱のように聳えている
それは訴えてくる
祈るがいい、神にではなく人の力に
目指すがいい、天ではなく声のするほうを
我が身を失いし者よ
奢り昂ぶりそれ故に人に見放されし者よ
日々を生きることに振り回され、
あるいは目まぐるしい時の流れに
ただその身を委ね揺蕩うだけの者たちよ 手のひらを開き漲る力を確かめ
そしてこの地を訪れるがいい
ここには永遠に終わらぬ夢がある
ここには大いなる未完成が佇んでいる
アントニオ・ガウディ、あなたは信じていたのだろうか
人々が諦めることを知らずあなたの夢を紡ぎ続けるだろうと
幾多の若者たちが
西からそして東のはてからも集い
何を求めるでもなく
槌を振るい鏝を操り汗を流すことを厭わず
力の限りあなたの描いた夢のその先を
ともに創り続けるこの軌跡を
あなたは信じていたのですか
このワインは永遠の未完成、
サグラダ・ファミリアである
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第八の使徒 |
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このワインは「出会い」である
出会いは常にときめきと躍動をともなう
人は人と出会うことでし変わりえず
新たな道を見い出すこともできない
ただその出会いが異性だった場合
人は時に叶わぬ思いを胸に秘める
ただ遠くから見つめることだけで
満ち足りたひとときを過ごすだろう 一瞬のときめき
強さと優しさと楽しさと静けさと
きりりとした自尊心と
たおやかな女性らしさを兼ね備えた横顔 私にはわかっている
あなたは優しさを渇望している
ただあなたの求める優しさは
今の私には到底手が届かない
ああ美しき人よ
見つめるものを陶酔させる笑顔は
甘くそして切ない
控えめでありながら凜と背を伸ばし
まっすぐに目を見つめるあなたは
その内面に獣のようなエロスと
聖女のような高潔さを兼ね備えている ああなたは常に歩んでいる
あなたは留まらず何かを目指している
その何かが私にわからないのは私がまだ未熟だからであり
決してあなたのせいではない
なぜならあなたは太陽と大地と
そして風のただなかに生きているから ゆらゆらと黄金の髪を風になびかせながら
あなたは自信にあふれ私を振り返る
「ついておいで来られるものなら……」
そのワインはひとりの女性であり一本の木である
広々とした草原に佇むその一本の樹は
風を受けて常に揺れ動いている
ざわざわざわざわと生い茂る葉は
風に揺蕩いながら降り注ぐ太陽に煌めいている
その樹は私の総てを沈黙をもって受け入れてくれる
ああ青春のひととき私を虜にしたワインよ
あなたは手を差し伸べればそこにいた
しかし決して届くことはなかった
ポートレートの中の「マドンナ」である
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第九の使徒 |
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私は走り続けてきた
様々な困難を乗り越え約束の地を目指して
困難の一つ一つは
目の前に塞がったその時は憎むべき存在だった
しかし振り返ると
それほど遠い昔のことでもないのに
懐かしく感じられる
成功は「月」であり困難こそが「太陽」なのだ
太陽がなければ月は決して輝かない
同じように困難のない成功は
人の心をときめかせることはないのだ
成功は「果実」であり困難は「大地」である
大地と格闘することなしに
果実を手にすることは叶わない
同じように地に足のつかぬ成功などに
喜びは伴わない
今ならばわかる
今ならびそれを伝えられる
勝利をてにし果実を口にしようとしている私には
しかしどうだろう
それを後から来る物に伝えることをは困難であると同時に
傲慢でしかないのだ
傲慢でしかないからこそ私は
その役割をワインに託したいと思うのである
足に残る心地よい疲れ
破れそうな心臓をなおも動かそうとする勝利への渇望
身よ手に届くところに
凱旋すべき門がある
弾ける汗
それは苦しみを乗り越えた者にこそ相応しい聖なる雫である
人々の喚起の声が出迎える最後のトラックを
勇者は誇りを胸に掛け抜けていく
両手を天に突き上げ
勝利の雄叫びをもって迎えられるがよい
女神が授ける様々な紅い花の冠
勝利を讃える華やかな宴
古代ローマの強い日差し
白い石造りのスタジアムを埋め尽くすローマの人たち
長い苦しみを抜けて勝利を手にしたランナーの誇り高い笑顔
このワインは秘めた情熱である
このワインは困難を乗り越える力の源である
このワインは華やかな成功を夢見る野心である
このワインは手にした果実であり
それを口にした若き勇者の高揚であり
忘れ得ぬ「勝利の余韻」である
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第十の使徒 |
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ここは夜なのか
それとも地の底なのか
激しい生命力を孕みながら
私は種子のようにその時を待つ
生きることの意味を探し続けて彷徨うことは
けっしてたやすくはない
それは時に振り返り時に掛け出し立ち止まって
思い悩むことの繰り返しなのだ
始動そして誕生
闇を這い登り
光の誘惑に導かれ
目指すものはまだ見ぬ空
地の底とめくるめく外界を隔てる地平を突き抜けて
私は木の芽のようい天にその手を伸ばす
光だ
待ち続けた光
私は一気呵成に果てしない空を目指し
巨木となり天に向かって行く
眼下に広がる大地
生命の坩堝
土、水、草、花、獣
人はもちろん小さな虫けらまでも
私は今虚空から俯瞰している
胸に一節の歌が浮かんだ
「花に鳴く鶯
水に住むかはづの声を聞けば
生きとし生けるものいづれか歌よよまざりける
力を入れずして天地を動かし
目に見えぬとも鬼神をもあはれと思はせ
男女のなかもやわらげ
猛き武士の心をもなぐさむるは
歌なり」
宇宙から望む地球とはかくなるものか
闇の直中に浮かぶ
優しい輝き
命の源
このワインは魂である
このワインは俯瞰した大地である
このワインは宇宙の広がりである
そしてこのワインは
「希望」である
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第十一の使徒 |
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このワインには風が吹いている
情熱を求めてかの地を訪れし時
私は知った
汗を沈めてくれる風、その清々しさ、灼熱の大地に吹く風の豊かさを
この夕陽を刻みつけたワインをグラスに注いだ時
私には色とりどりの風が見えた
風がなぜ一抹の寂しさを帯びているのか
答えは風が常に去ってゆくものだからなのかもしれない
私は風に運ばれて天上に舞い上がる
限りない大地の豊かさを離れた空から見下ろす時
いつか自分に訪れる永訣の時を思わずにはいられないのだ
その時思い出すのは家族が揃っていたあの幸福なひとときである
出会いともに暮らし苦しみ愛し合い
ずっとずっと与え続けた日々が風とともに遠ざかっていくのを
見つめながら私は佇む
そして初めて知るのだ
別れこそが総ての始まりであることを
太陽を降り注げ
生命を育むがよい
雨よ濡らせ大地を潤し
生きとし生けるものを癒すがよい
風よ運ぶがよい
命を宿しし種子を新たな大地へと
私はただ見送る
樹のように佇みながら
ふと瞳の奥を射る燃えるような夕陽
転地に織りなす光と影の物語
火照りを和らげてくれる風だけが
優しく頬を撫でてくれる
さらば愛しきものよ
お前は私であり、私はお前である
天に向かい永遠に伸び続ける樹のような
大地の奥に黙々と張りゆく根のような
風に乗りどこまでも旅する種子のような
そんな人生であれ
風よ私をどこに連れていってくれるのだ
太陽を私をどこから見守ってくれているのだ
今度こそ私はこの地平から旅に出る
生きて生きて生き抜いた今だからこそ出られる創造の旅へと
人生を回想する時
そこには愛するが故の決別がある
決して振り返られない後姿を
いつまでも眺めていられる自分の強さと優しさを理解し
無からもう一度始められることへの情熱と期待
新たなる旅立ちへの予感
いつの日かお前たちも見るだろう
この夕陽を
そしていつか感じるだろう
このワインは太陽とともに去りゆく風である
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第十二の使徒 |
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私は歩いている
苔生した深い森を抜けると
太陽の照りつける丘が開けた
だがその丘はまた霧に覆われ
私は揶揄無べき道を失う
私はまた歩いている
そこは静謐な寺院
歴史を刻みつけた長い廊下は
光がさしてはとだえ
どこに続いているかも定かではない…
私はふいに檻に閉ざされた
しかしその檻は
人を閉じ込め苦しめるための檻ではない
むしろその跡に待つ喜びを
より深くするための神の仕掛けた余興なのである
私はしなやかな雌ライオンに出会う
鳶色の目でじっと私をみつめている
私に恋をしているのだろうか?
その吸い込まれるような瞳
歩み寄ろうとすると
背を波立たせながら逃げ去ってしまう
私はまたひとり
そして歩き出す
私は歩いている
色とりどりの
果物や花や麦わら帽子
そして絹の織物や笑顔
溢れかえるそれらは昼下がりの市場だ
私はそれらの総てを味わいながら
ゆっくりと時の流れを楽しむ
ゆっくりと気まぐれに食べ
気まぐれに言葉を交わし
そしてくつろぐ
私は泳いでいる
私は底の見えない透明な泉を
果てし無く続くグランブルーの彼方に
私がゆっくりとすべり落ちてゆく
これは温もりなのか
それともやさしい絶望なのか
絶望だとするならもう決して戻ることはできないだろう……
私はピクニックに出かける
誰と?
決まっている
幼いころの私とだ
年老いた私を幼い頃の私が不思議そうに見つめている
そして自由に駆けまわる幼い私を
年老いた私が見守るように見つめている
どちらも同じ私
一本のワイン
私はパイプをくゆらしながら
遠い海を見つめている
ひはとうに沈み
夕闇が視界を閉じ始めている
私はいつの間にか眠りに落ちていた
若きひの私は血気盛んに嵐の海を乗り越えてきた
年を重ね大地を踏み固めるように前に進んで
時に壁を登り
泣き笑い怒り喜んだ
黄昏を迎えた私は
歩いてきた道を振り返るが
そこには何も見えずただ足跡だけが続いていた
決してもどることのできない私ひとりの足跡
ふと目を覚ます
入れたばかりの紅茶はまだ温もりを残していた
60年の歳月は一瞬の夢に過ぎなかった
このワインはまどろみが連れてきてくれた
長く短い夢である
このワインは永遠であり
そして一瞬である……
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あらためて確認してみると、とてもバランス良くセレクトされているのが分かります。
フランスからは、2大産地であるブルゴーニュとボルドーを中心に8種類がセレクトされています。
ブルゴーニュ赤の1級畑と特級畑から1種類ずつとブルゴーニュ白の特級畑。
ボルドーからは、赤が右岸と左岸から1種類ずつつと甘口のソーテルヌ。
そして、シャンパーニュとローヌから1種類です。
フランス以外の4種は、2大イタリアワインであるブルネロ&バローロとアメリカのシラーとスペインのカリニェナ。
ワイン好きならおさえておきたい産地からセレクトされています。
神の雫
前項でフランスの2大産地はブルゴーニュとボルドーであることは触れましたが、
どちらの産地から神の雫が選ばれるのか興味津々でした。
結果「神の雫」は、なんと1本ではなく、2本でした。
神咲雫 セレクト | 仏・ボルドー地方 シュバル・ブラン 1982年 |
遠峰一青 セレクト | 仏・ブルゴーニュ地方 ジャッキー・トルショー クロ・ド・ラ・ロッシュ 2002年 |
やはりどちらかの産地に絞るのは難しいですよね。
この結末に納得した読者も多かったのではないでしょうか。
筆者は、ボルドーなら右岸から選ばれるのではないかと予想していました。
シュバル・ブランも考えましたが、ペトリュスではないかと思っていました。
逆にブルゴーニュであれば、
ベタですがDRC(ドメーヌ・ロマネ・コンティ)から選ばれるのではないか?
少なくとも畑はヴォーヌ・ロマネだろうなと思っていたので、こちらは全く予想できませんでした。
「神の雫」「十二使徒」は実際に飲むことができるのか?
こちらについては、大きく2つに分かれます。
- お金さえ出せば飲むことができるワイン:第五の使徒を除く「十二使徒」11本と「神の雫」の神咲雫 セレクト
- お金を出しても飲めないワイン:第五の使徒と「神の雫」の遠峰一青 セレクト
お金さえ出せば飲むことができるワイン
まずお金さえ出せば飲むことができるワインとしたものについては、
ヴィンテージが同じものを見つけることは難しいかもしれませんが、ヴィンテージ違いであれば購入できそうです。
ただ、どのワインもめちゃくちゃ高いです。
つまり、
存在はするが、購入は難しい。
それでも飲んでみたいという方は、試してみてください!
参考までにリンクを貼っておきます。
参考商品 | ||||
第一の使徒 |
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第二の使徒 |
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第三の使徒 |
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第四の使徒 |
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第五の使徒 |
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※ミシェル・コラン・ドレジェは2003年に引退しており、この2017年ヴィンテージ生産者は長男フィリップになります。 |
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第六の使徒 |
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【送料無料】バローロ カンヌビ・ボスキス [2004] ルチアーノ・サンドローネ <赤> <ワイン/イタリア> 価格:44,770円 |
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第七の使徒 |
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第八の使徒 |
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第九の使徒 |
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第十の使徒 |
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第十一の使徒 |
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第十二の使徒 |
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神の雫(神咲雫 セレクト) | 仏・ボルドー地方 シュバル・ブラン 1982年 |
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お金を出しても飲めないワイン
次にお金を出しても飲め無い2本です。
こちらは、買いたくても市場に既に存在しないワインです。
厳密に言えば、どこかのレストランやカーブにあるかもしれませんが。
遠峰一青 セレクトのブルゴーニュ ジャッキー・トルショー クロ・ド・ラ・ロッシュ は、2005年ヴィンテージを最後に引退してしまってますので、一般人が入手するのは難しいと思います。
また、ミシェル・コラン・ドレジェも2003年に引退しており、2004年以降のヴィンテージの生産者は長男フィリップなので、こちらも一般人が入手するのは難しいでしょう。
「神の雫」「十二使徒」の雰囲気を感じる方法
以上の通り、「神の雫」「十二使徒」ともにめちゃくちゃ高いです。
我々のような一般人には、ちょっと手が届か無いモノばかりです。
ただ、それらが、どういった系統のワインなのか、雰囲気を感じる方法はあります。
あくまで雰囲気でしかありませんが、
前述の「十二使徒」リストのそれぞれのワインの記述(表現)のイメージを少し意識しながら飲むだけでも、
ただ普通に飲むよりも全然楽しめると思います。
ブルゴーニュワインの場合
- 別の生産者が造ったワインを飲む
ブルゴーニュ地方は、同じ畑のブドウを使って、色々な生産者がワインを造っていますので、まだ無名の若手生産者のワインなど見つけることができれば、リーズナブルな値段で飲めるかも知れません。 - 同じ生産者のACブルゴーニュを飲む
A.C.ブルゴーニュ(ブルゴーニュ広域地域のブドウを使って造られる)は村名クラスに比べてかなりリーズナブル
ボルドーワインの場合
- 同じエリア(右岸 or 左岸/地区)のぶどう品種のブレンドが似ているワインを飲む
例えば、第二の使徒「シャトー・パルメ」であれば、ボルドー左岸マルゴー地区のカベルネ・ソーヴィニヨン+メルロー+プティ・ヴェルドのブレンド。 - 同じ生産者のセカンドワインやサードワインを飲む
ぶどうのクオリティは落ちるが、同じエリアで収穫されたぶどうであり、造り方も同じだから。
その他のワインの場合
その他のワインも同じような考え方で良いと思います。
- 使っているブドウ品種の収穫エリアが同じ
- 生産者(ワイナリー)が同じ
- セカンド、サードワイン
余談ですが、
「神の雫」2本のうちの遠峰一青セレクト「ジャッキー・トルショークロ・ド・ラ・ロッシュ」は、トルショーが既に引退しているため、今では入手困難と前述しました。
その主な畑を引き継いだのがダヴィド・デュバンです。
造り手が違うので、ニュアンスはもちろん違うと思いますが、畑は同じという点で興味がありますよね。
ただ、村名ワインはそれなりにお値段で、手を出し難い気もします。
クロ ド ラ ロッシュ特級[2018]ダヴィド デュバン(赤ワイン ブルゴーニュ)
クロ ド ラ ロッシュ特級[2018]ダヴィド デュバン(赤ワイン ブルゴーニュ) 価格:27,900円 |
そこで、同じ生産者がブルゴーニュ(ブロション村)のぶどうで作ったワインも紹介します。
まだギリギリ手が出せそうですよね。
ドメーヌ・ダヴィド・デュバン
コート ド ニュイ ヴィラージュ ルージュ 2017
ダヴィド デュバン コート ド ニュイ ヴィラージュ ルージュ 2017 正規品 フランス 赤ワイン ブルゴーニュスーパーSALE★特別価格 価格:5,830円 |
まずこちらを試してみて、好みのようでしたら、村名クラスを買ってみても良いかもしれません。
価格:6,556円 |
価格:6,556円 |
「神の雫」「十二使徒」の雰囲気をリーズナブルに感じるワインリスト
前項で「神の雫」「十二使徒」の雰囲気を感じる方法を紹介しました。
でも「そんな事言われてもわからないよ」という方も多いと思います。
そこで、筆者の独断と偏見で、「神の雫」「十二使徒」の雰囲気を感じるためのリーズナブルなワインリストを作ってみました。
筆者も「神の雫」「十二使徒」の現物を飲んだわけではなく、あくまで生産者、生産地、品種などから想像したものだということはご了承ください。
ただ、飲んだらわかると思いますが、十分に美味しいと思います。
「神の雫」「十二使徒」 | リーズナブルに雰囲気を感じるワイン | |||
第一の使徒 |
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第二の使徒 |
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第三の使徒 |
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第四の使徒 |
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第五の使徒 |
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第六の使徒 |
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第七の使徒 |
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第八の使徒 |
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第九の使徒 |
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第十の使徒 |
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第十一の使徒 |
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第十二の使徒 |
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神の雫(神咲雫 セレクト) | 仏・ボルドー地方 シュバル・ブラン 1982年 |
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神の雫(遠峰一青 セレクト) | 仏・ブルゴーニュ地方 ジャッキー・トルショー クロ・ド・ラ・ロッシュ 2002年 |
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まとめ
- 「十二使徒」のセレクトはとてもバランスが良い
- 「神の雫」「十二使徒」ともにほとんどネットで購入可能
- どれも高過ぎて、実質購入できない
- 一般市民は、グレードを落として雰囲気を楽しみましょう
16年の長きに渡って連載された「神の雫」はそのまま筆者のワイン歴です。
ワインにハマるきっかけになった愛着のある漫画ですが、ラストは雫とみやびちゃんは結婚(マリアージュ)させて欲しかったです。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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