『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』は、筋ジストロフィーという難病を患った鹿野靖明とボランティアの物語です。
映画で鹿野は、高畑充希演じるボランティア安藤美咲に恋をします。
この記事では、ボランティア安藤美咲は実在するのかについて解説しています。
映画「こんな夜更けのバナナかよ愛しき実話」の安藤美咲ってどんな役?
映画「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」で、高畑充希演じる安藤美咲はどんな役だったのでしょうか。
鹿野との出会い
映画の冒頭、美咲は彼氏(田中久・三浦春馬)が浮気しているのでは無いかと疑って、ボランティア先を訪れます。
そこで、新人ボランティアが来たと勘違いした鹿野に気に入られてしまいます。
その日夜の当番だったボランティアが急遽来れなくなり、鹿野は田中に代役を依頼するのですが、
渋々引き受けた田中と一緒に美咲も夜の当番をする羽目になり、なし崩しにボランティアにされてしまいます。
そこで、作品のタイトルの元になったバナナ事件が発生するわけです。
<バナナ事件>
鹿野は美咲と二人になりたかったのか、田中に「バナナ食べたい。買ってきて」と命じる。
美咲は鹿野と二人だけになりたくない一新で、深夜2時にバナナを買いに行きます。
しかし深夜2時と言うことで、なかなかバナナが手に入らず夜の街を走り回ります。
ようやく見つけて帰宅した美咲は、オセロ台の上にバナナを叩きつけます。
田中との破局
田中と美咲が付き合っていることを知らない鹿野は、田中に美咲へのラブレターを書かせます。
田中にお願いされた美咲は、田中とのキスを交換条件に渋々鹿野の外出(デート)に同行。
そうやって鹿野と触れ合っていくうちに、少しづつ美咲は鹿野に気を許していきます。
そんな中、美咲は教育大学の学生というのは嘘だと田中に打ち明けますが、それが原因で二人の距離が離れていきます。
逆に嘘を許容して、励ましてくれる鹿野との距離は縮まっていきます。
鹿ボラの中心に
その後、美咲はボランティアの中心として、さらに鹿野との距離を縮めていきますが、
気まずい出来事があって以来、ボランティアを休むようになってしまいます。
しかし、鹿野が倒れる事件が起こって、ボランティアに戻ることになります。
鹿野が人工呼吸器をつけてからは、発声できるようにサポートするなど、
より献身的にボランティアに取り組みます。
最終的に鹿野は、美咲に告白しますが、美咲の返事は「ごめんなさい」でした。
安藤美咲は実在するのか?
映画における安藤美咲がどんな役だったのか確認しましたが、
それでは、安藤美咲は実在するのでしょうか?
結論をいってしまうと、この映画において、安藤美咲(高畑充希)は原作には存在しない架空のボランティアです。
ただ、原作に出てくる何人かのボランティアのエピソードを美咲に凝縮させています。
バナナ事件
まず、原作におけるバナナ事件の当事者は、当時北海道大学農学部の学生だった国吉智宏です。
事件の内容は映画と原作で異なりますが、これは実際にあったエピソードです。
<実際のバナナ事件>
学生ボランティア国吉智宏が、夜中に鹿野の振るすずの音で起こされ、
「腹減ったからバナナを食う」と言われ、
「こんな真夜中にバナナかよ」と内心酷く腹を立てながらも、無言で鹿野の口に押し込む。
食べるのが遅い鹿野がようやく食べ終わりそうになり、もういいだろう。寝かせてくれ。
という態度を全身にみなぎらせて、ベッドにもぐり込もうとしたら、
「国ちゃん、もう1本」と言われたことによる。
なにぃー!と驚きつつ、怒りが急速に冷えていき、
もう、この人の言うことは、なんでも聞いてやろうと思ったそうです。
恋愛エピソード
また、原作では鹿野と二人の女性の恋愛エピソードが書かれています。
一人は、名前は公表されていませんが、鹿野と唯一相思相愛になった人物。
当時のボランティアの調整役でもあり、鹿野の精神的支えになっていたという点は、美咲に通ずるものがありますが、
それ以外のエピソードが全く美咲と合致しません。
もう一人は、喜田弘美という看護師。
こちらは、鹿野がラブレター的な日記を書いたとか、鹿野がアタックした時に「ごめんなさい」と返事した点は、美咲に通ずる部分ですが、
こちらも年齢が全然違ったり、イメージが全く合いません。
モデルになった人物
映画の安藤美咲のように鹿野が好意を寄せた女性ではありませんが、
原作に登場する実在する人物に美咲のモデルになったのでは無いかと思われる人物がいます。
鹿野が秘書と呼び、会報作りや発送の作業、ボランティア募集の窓口など若い学生ボランティアの中心的存在だった遠藤貴子(当時北海道大学理学部の学生)です。
- 毎週の泊まりの介助にも入っていた
- 目がとても印象的な整った顔立ちで、アイドル歌手にも似ている
- 大学卒業後、大学に通い直して教員免許を取得したこと
など、安藤美咲に通ずる部分が多く、安藤美咲のモデルではないかと思います。(あくまで個人的見解)
安藤美咲はどの人がモデルになっているのかという視点で読むのも楽しいと思いますので、
映画を観た方は、原作も読むことをおすすめします。
こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち (文春文庫 わ)
まとめ
- 安藤美咲は実在しない架空の人物である
- 安藤美咲には、原作のボランティア数名のエピソードが凝縮されている
- 原作に安藤美咲のモデルにしたと思われる人物がいる(個人的見解)
全国300館でロードショー公開する映画のため、どうしてもエンターテイメント色が必要になり、
原作にはない架空の人物である安藤美咲が登場したんですね。
映画は原作と違う部分がかなりありますが、エンターテイメント作品としては十分に楽しめると思います。
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