宮崎駿監督の不朽の名作「風の谷のナウシカ」が12月25日の金曜ロードショーで放映されます。
これから先、我々がいかに生きていくべきかを問いかける今の世の中に最もふさわしい作品です。
この記事では、ナウシカはなぜペジテとトルメキアは同じと言ったのか?について解説しています。
ペジテとトルメキアの関係
ナウシカはなぜペジテとトルメキアは同じと言ったのか?について解説するために、
まずペジテとトルメキア両国の関係について確認する必要があると思います。
ペジテが巨神兵を掘り起こした理由
映画の序盤で、ナウシカは風の谷に不時着して大破したトルメキアのコルベットからペジテの王女ラステルを救い出します。
しかしながら、ラステルは致命傷を負っていて、まもなく息を引き取るわけですが、
ラステルは、最後に積荷を燃やすようナウシカにお願いします。
映画館で「風の谷のナウシカ」を観てきた。
ナウシカがペジテの人々に助けられるのは、ラステルの最後を看取ってラステルの魂がナウシカに宿ったからだと思う。ナウシカがラステルの母に「お母さま」と抱きつき、王蟲の幼生を助ける時に撃たれずに済んだのもラステルがナウシカと一体になっていたから pic.twitter.com/7BvrZ8D8Mk— KenTakakuwa (@kentakakuwa) July 5, 2020
ここでのポイントは、この2点ですよね。
- なぜラステルはトルメキアのコルベットに乗っていたのか?
- ナウシカに燃やすよう頼んだ積荷とはなんなのか?
1については、
ペジテ軍が地下から掘り出した巨神兵をトルメキア軍が強奪に行き、
巨神兵だけでなく、巨神兵を復活させる鍵となるラステルを人質にしていたと考えられます。
2については、
つまり積荷は巨神兵ということになりますね。
また、ペジテ軍のリーダーが
「どうあっても復活する前に巨神兵を取り戻さなければならないのだ」
と言っていることからも、
映画では、ペジテが巨神兵を掘り起こした設定であることは間違いないでしょう。
それでは、なぜペジテは巨神兵を掘り起こしたのでしょうか?
これは、映画には描かれていませんが、原作には下記の説明があります。
工房都市ペジテには、地中深く埋もれた太古の年からエンジンを掘り起こす坑道があるのです。
おそらく偶然その坑道から発掘されてしまったのでしょう。
トルメキアはなぜ巨神兵を奪おうとしたのか?
トルメキアは、巨神兵をペジテから奪ったわけですが、
おそらく輸送中にペジテ軍に追撃されて、腐海に逃げ込んだところ、
蟲に襲われて、風の谷に不時着したのでしょう。
その後、クシャナ殿下率いるトルメキア帝国軍が、風に谷を襲撃します。
なぜなら、風の谷には燃えずに残った積荷(巨神兵)が残っていたからです。
#エアノイエ銀英伝
レベロとフレデリカさん
前はクシャナ殿下とクロトワ参謀です pic.twitter.com/ysicsJmAQF— 装鉄城 (@rZVdzXGF3Op2U8G) October 26, 2020
その時のクシャナ殿下の言葉は次のようなことでした。
- 辺境の国々を統合し王道楽土を建設する
- 腐海を焼き払い再びこの大地をよみがえらせる
- かつて人間をして、この大地の主ととなした奇跡の技と力を復活させた
- 森の毒や蟲どもにおびえぬ暮らしを約束する
いかにも周辺諸族を守るためのように話していますが、
つまり、こういうことです。
巨神兵のプロトンビームで、腐海と蟲を焼き払い、トルメキア帝国が全土を支配する
もうひとつの理由は、
ペジテが巨神兵を手に入れてしまったら、トルメキアが脅かされるというとです。
この2つが、トルメキア帝国が巨神兵を奪おうとした理由です。
トルメキアが巨神兵の脅威にさらされ、ペジテを襲撃したがきっかけで、
平和都市だったペジテはトルメキアに対して反乱を起こすことになるわけです。
ナウシカはなぜペジテとトルメキアは同じと言ったのか?
ナウシカは、ペジテ軍のリーダーと口論になった時に。
「あなたたちはトルメキアと同じよ!」と激しく罵ります。
なぜナウシカは、そう言ったのでしょうか?
ペジテの作戦と目的
巨神兵を奪われたペジテが考えたのは、
王蟲の幼生を囮にして、怒った王蟲の集団を風の谷に宿営しているトルメキア軍に突っ込ませるという作戦でした。
そして、ペジテのリーダーは、このようにナウシカに話します。
- 世界を守るために巨神兵が復活する前に取り戻さないければならない
- 巨神兵を取り戻せば、腐海を焼き人間の世界を取り戻せる
ペジテの目的のひとつは、トルメキア帝国の脅威にさらされないことです。
ペジテのリーダーは、トルメキアは巨神兵を破壊に使うだけだと罵りますが、
結局、ペジテも腐海を焼き払えば、人間の世界を取り戻せると考えているわけです。
腐海の存在意義
腐海の底に落ちたナウシカとアスベルは、腐海の本当の存在意義に気付いています。
そして、腐海や蟲を失くしてはいけないと訴えます。
- 「あなたたちだって井戸の水を飲むでしょう。その水を誰がきれいにしてると思っているの?」
- 「湖も川も人間が毒水にしてしまったのを腐海の木々がきれいにしてくれているのよ」
- 「蟲は世界を守ってるって!」
腐海を焼き払うと、大地はもとに戻るどころか再生の方法を失うわけです。
その事実を理解していないトルメキアとペジテは同じだとナウシカは言ったのです。
まとめ
- トルメキアの目的は、巨神兵のプロトンビームで、腐海と蟲を焼き払い、トルメキア帝国が全土を支配すること
- ペジテの目的は、トルメキアの脅威から逃れ、腐海を焼き払い元の世界を取り戻すこと
- 腐海の存在意義を知るナウシカは、トルメキアもペジテも同じと言った
原作では、トルメキアに王蟲を向かわせたのは、ペジテではありません。
原作にしか登場しない国の計画でした。
そのあたりに興味がある方は、ぜひ原作を読んでみてください。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
コメント
コメント一覧 (4件)
分かりやすい解説ありがとうございます。
ナウシカが同じと言っていたのは「腐海を焼いても世界は取り戻せない」
という部分だったのですね。
ただ、それだと、ペジテが風の谷を襲う動機の半分を
否定するだけかもですね。「ペジテにとって」トルメキアが脅威
であるという部分が直接動機だと思うのですが
その部分の解決策を示せていないので話がかみ合わなく感じてしまう
「トルメキアの言いなりになれというのか」との言葉に反論できず
アスベルに「説明して」と言っていた内容もそれを満たしそうにない
その後も巨神兵なんて掘り起こすからいけない、と話が過去に戻るだけで…
そこがちょっとモヤっとするのですよね。
あのまま議論が継続されていたとしたらどんな展開になったんでしょう
ナウシカは現実的にどんな解決策を示せていたんでしょう
巨神兵は葬るべきだ、
それは私が実行するからペジテは手を引いてくれ
といった落としどころかと考えますが巨神兵を失う軍事的不利は大きく
蟲を使う非人道的手段を是とするのも納得できます
でも、動機を半分失えば正気に戻るかもしれません
結局巨神兵で腐海焼いても世界浄化どころか、取返しつかなくなる
それなら、巨神兵は奪還するのでなく葬ろう!と
…そんなこと考えていたら、ナウシカがペジテに何を求めていたか
どう、方向修正しようとしていたか見えてスッキリした気がします
(あんな危険な巨神兵は奪還するのでなく葬るべき!)
そう言ってくれれば分かり易かったんですけど物語としては正解ですね
コメントありがとうございます。
結局、物語の根幹には、私利私欲による争いが罪のないモノの命を奪い、美しい自然を破壊するというテーマが込められているのではないでしょうか。
ナウシカが一緒と言ったのは、”私利私欲”という点で同じという意味だと感じました。
私利私欲、そうですね。
トルメキアもペジテも軍事力学だけで考えていた
部分がありそうですね(自分もそうですが)
ナウシカさんなら、トルメキアとも話し合って解決しよう
としたことでしょう。自然も含めた共生の精神で。
ただ、蟲のせいで体を失ったクシャナの立場としては
自然は制するべき対象と思えるかもしれず
巨神兵を掘り起こしたばかりに征服されたペジテの理不尽
よくわからない相手への恐怖というのもまた現実と感じます
そういった一筋縄でいかない多様な存在が描かれていて
それぞれの立場が完全否定されず存在感を示すことで
この映画は複雑で面白くなっている、、
とも言えるかもしれませんね。
久しぶりに放送されたナウシカを見ていたらふと語りたくなり
ヘンなものを送ってしまいました、すみません。
コメント頂き嬉しいです。
おっしゃる通り、色々な視点から考えることができる奥の深い作品だと思います。
ナウシカが今でも人気がある理由がわかる気がしますね。